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  • 長原

寒さ対策 -貼るカイロを利用して-

寒い時には、市販のカイロを首の付け根付近に貼りましょう。

体がかなり温かくなりますので、是非やってみてください。

風邪のひき始めにもとても効果的です。


今回のテーマは、

  • 寒さを感じた時

  • 心底冷え切った時

  • ゾクゾクと寒気を感じた時

  • カゼ気味かな?と思った時

  • これから寒い所へ行く時


そのような場合に、使い捨てカイロを効率よく用いて乗り切ることです。

カイロをお灸の代用とする方法で、手軽で、安全性も高く、しかも高い効果が期待できます。

貼るタイプのカイロが便利です。


ただし、“冷え症”への対処法は今からお伝えする方法と重複するところは多いですが、全く同じという訳ではありません。

“冷え症”とは、何らかの病的、または体質的な原因があって、そのために体のさまざまな場所の温度が低下したり、冷えを感じたりするという“症状”であり、その対処法は原因によって異なります。

冷えへの対処法は、別のブログで述べることにします。


目次


1. どこにカイロを貼れば良いのか

1-1.真っ先にカイロを貼る場所

どの場所をカイロで温めるのか?が一番重要なポイントですが、最適なのは、写真のオレンジ色で囲った所です。

当然ながら直に肌に貼るのではなく、肌着などの布を介して肌に当てるので、下着に貼って位置を合わせてください。(女性用の肌着は襟ぐりの後ろが広く開いているものが多いので適しません。襟ぐりが広くないTシャツなどを着て、その上に貼ってください。)

もしカイロが一枚しかない時は、迷わずオレンジの所に貼りましょう。

背部にカイロを貼る位置

1-2.その次に貼る所は

次にカイロがもう一枚あってもっと温めたい時は、特に他に症状がないのなら写真のグリーン色で囲った所(仙骨)に貼ります。

仙骨部にカイロを貼る位置


もしお腹が冷えて辛い、お腹がチクチク痛む、のなら、おヘソの真上にカイロを貼ってください。カイロの中心をおヘソに合わせて、おヘソをカイロで蓋をするようにします。

(注:手足は温かいのにお腹周りだけ冷えるという、いわゆる冷え症では仙骨部に貼ります。詳しくは後日、冷え症を扱ったブログで)


1-3.それ以上にカイロを貼る場合

寒くて鼻水が出るような時や、体が何となく冷えているように感じて全体的に不調な時は、両足のゆび全体を、爪がある側(足底ではない側)から包み込むようにカイロを貼ります。

足底用のカイロもあるのなら足底に貼って、または靴の中敷きとして入れて、足のゆび全体をカイロで包んで温めると効果は高まります。


「その次に貼る所」として仙骨の部位に貼ることを前述しましたが、もしカイロが三枚あるのなら、首の付け根と両足ゆびの組み合わせは強力で、仙骨部まで貼ってしまうと暑過ぎるかも知れません。そんな時は仙骨部は不要です。寒くてトイレが近くなっている時などにもとても効果があります。


まだカイロがあるようなら、後は自分で寒さを感じている所に貼りましょう。

体表面に近い所に動脈が流れている所である、肘の曲る側、膝の裏、足首の内側などにカイロを貼ると、血液そのものを温めますので効果があります。

貼る個所が増えれば増えるほど体が温かくなります。


2.カイロを貼ることによる作用機序

カイロそのものが温かいので体に当てると温かくなるわけですが、今回お伝えしているのはその効率を高めた方法で、大雑把に二通りあります。


2-1.体が熱をたくさん作り出すようにする

前文で「カイロをお灸の代用」と記したように、お灸としての作用、即ちカイロやお灸で熱刺激をある部分に加えることによって、体が熱を産生する機能を高めてやる方法です。

普通の体力がある方には、とても効果を発揮します。


2-1-1.首の付け根

首の付け根のオレンジで囲った所には大椎(だいつい)や風門(ふうもん)というツボがあり、カゼをひいた時にそれらのツボにお灸するととても楽になります。また、解剖学的には褐色脂肪細胞という熱の産生にかかわる組織がある所で、そこに熱刺激を加えることによって効果が得られるのではないかと思われます。

2-1-2.仙骨部

仙骨部には中髎(ちゅうりょう)というツボがあり、お灸をすると骨盤内臓器の血行を促進させて副交感神経優位に導きます。解剖学的には仙骨神経叢の付近です。

2-1-3.おヘソ

おヘソの裏、お腹の中には太陽神経叢という交感神経節の複合体があり、そこを温めることによって腹部だけでなく自律神経を安定させる作用があります。

2-1-4.足のゆび

経絡の視点から見ると、経絡には上肢と体幹の一部をまとうもの、体幹の一部を流れるもの、下肢から体幹や上肢に掛けて広範囲をまとうものなどがありますが、足のゆび先にあるツボの経絡は体の広範囲をまとい、その経絡の先端である足ゆびの爪付近にあるツボは特に井穴(セイケツ)と言って経絡全体に強い作用を及ぼすツボです。

2-1-5.その他

また、仙骨部や腰に貼ったカイロによって暖められた空気は下着と上着の間を通って上に上って首の付け根辺りまで到達しますので、首と衣服を密着させるように衣服を着ると暖められた空気によって間接的に首のあたりを温めることになります。

カイロを貼らない時でも、体幹によって暖められた空気は衣服の間を上がりますから、首にマフラーを巻いたりハイネックを着たりボタンを留めて襟元を閉めてやると、その暖まった空気で首の付け根付近を温めることになり、寒さを凌ぎやすくなります。


2-2. 血液を温めることで体を温める

次に動脈近くにカイロを貼って、血液そのものを温める方法です。前述の2-1.に比べると温まり方は穏やかですが、体力が低下している方には適しています。


膝の裏、内くるぶしとアキレス腱の間、肘の裏(曲げるとシワが出る側)、手首の曲げるとシワの出る側、などは動脈が体表近くにあるので、カイロを貼ると血液を温めてくれます。

脇の下もそうですが、よく動く所なので違和感を強く感じたり、人によっては脇汗が酷くなったりするので、カイロを貼りやすい場所ではありません。

体表近くに動脈が走行している所は、熱中症では逆にそこを冷やす所でもあります。そこを冷やすことによって血液そのものを効率良く冷やして体温を下げるためです。


ただし、首は頚動脈が比較的体表に近い所にありますが、様々な神経もあり、カイロで温めると不調を来すおそれがありますので、カイロを貼るのには適していません。


3.カイロを貼る上での注意点

カイロを貼る上で注意すべきなのは低温やけどです。

皮膚の近くに骨がある所や皮膚が薄い所、例えば仙骨部やへそ周辺は要注意です。

その他の場所も、カイロを貼っているうちに皮膚がピリピリやチクチクし始めたら、または皮膚が熱くなり過ぎて来たら、直ぐにカイロを取り外してください。


また、首に貼ったり、目を覆うように貼ったりするのも禁止です。

そして言うまでもありませんが、皮膚に直接貼るのではなく、必ず、カイロと皮膚の間に衣服などの布類を介してください。


4.カゼの初期にはカイロを貼りましょう!

カゼの初期にはかなり効果的です。

カゼかな?と思ったら、先述したオレンジで囲った所をカイロで温めてください。


カゼ引きの初期、首の付け根から背中辺りがゾクゾクすることがあります。昔はその辺りに灸をすえてカゼの治療を行っており、そのお灸の代わりにカイロを用いるわけです。


カゼ薬を服用せずともかなり改善していきますので、薬を服用できない方々(妊婦さんや、カゼ薬の成分によって体調不良をきたす方など)には最適です。

私は40年近く前から「カゼかな?」と思ったらこの場所をカイロで温めていました。カイロの説明書には「寝間着などに貼って就寝しないように」との注意書きがありますが、これは低温やけどに対する警鐘ですので、体に密着しないような、首周りにゆとりのある寝間着の首の付け根部分に貼って、低温やけどしないように気を付けて寝るようにしています。因みに40年の間、就寝中に低温やけどしたことは一度もありません。

ひと眠りすると、症状が軽くなっているのを実感するはずです。


カゼを引いてしまった後でも、オレンジで囲った所にカイロを貼ることによって症状の軽減を図ることができます。



この冬は暖冬と言われていますが、時として気温がジェットコースターのように乱高下しており、自律神経に不調を来して体調不良を訴える方が増えています。

体を冷やさないように、充分に注意してください。

ただし、もしも体を温め過ぎて発汗し、そこに風が当たって冷えてしまうと元も子もありません。

何事にも中庸が肝腎です。

温め過ぎず、冷やし過ぎずで、どうぞ乗り切ってください。



写真-鍼灸師・柔道整復師のための局所解剖カラーアトラスより

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